昼は蕎麦屋をやっているが、夜になると寿司屋になる蕎麦屋がある。いや、もともとは寿司屋の店舗なのだから、昼だけ蕎麦屋をやっている寿司屋という説明が妥当か。
蕎麦屋と寿司屋、どちらにも共通して言えることは、激安で美味しい料理が堪能できるという点だ。
東京・高田馬場にある寿司屋『幸寿司』は、昼だけ立ち食い蕎麦屋として人気を博している。
テキパキと蕎麦やうどんを調理する若女将の姿は見ていて清々しい。
かけそばの値段は310円。天玉そばでも430円なので、価格としては高くない。
麺は「これぞ蕎麦」と言いたくなるほど香ばしく、そしてコシがある。汁はやや濃いめだが、飽きがこないのはダシをしっかりと感じるからか。
内装は寿司屋だが、昼間だけカウンターに土台を置き、立ちながら食べやすい高さになっている。
ここで蕎麦を食べていると「これは夜にもこなくては」という思いがこみ上げてくる。
夜の寿司屋は、深夜25時まで営業している。JR高田馬場駅前にあるため、暗くなった夜は非常に目立つ。
駅前で『幸寿司』から漏れる光を目にし、「馬場に帰ってきた」「今日も一日が終わった」と思いつつ、帰路につく人もたくさんいるはずだ。
店内に入ると、しっかり椅子が置いてあった。夜は立ち食いではなく、椅子に座って寿司をつまめるのだ。
板前さんが二人おり、笑顔で寿司を握ってくれる。単品で注文も出来るが、ほとんどの客が「にぎりのセット」を注文する。
セットの価格は、上にぎり1200円、特上にぎり1600円、特選にぎり2000円となっている。意外にも安い。
しかし、味もそれなりと思ってら大間違い。この味をこの価格で出しているの? と思えるほど絶品なのだ。
まぐろはほどよい柔らかさでとろけ、生海老はプリプリとした食感がたまらない。いっさい生臭さはなく、鮮度も抜群なのがわかる。
ネタとシャリの温度も絶妙で、食べた瞬間、体温と同化し、極めて自然に旨味を広げる。
不思議なもので、寿司を食べていたら今度は蕎麦が食べたくなってきた。また昼にこなくちゃいけない。この蕎麦と寿司の連鎖は、いつまでも続く気がする。
まんまと罠にはまってしまった。
店名: 幸寿司
住所: 東京都新宿区高田馬場2-19-6
蕎麦屋: 6:30~13:30
寿司屋: 17:00~25:00
休日: 日祝
備考: 蕎麦を販売している時間帯は『吉田屋そば』とも呼ばれています
記事: 東京メインディッシュ https://main-dish.com/