朝食を食べている日本人が減っているという。明確には、朝食の時間がずれて、ほぼランチタイムに最初の食事を摂る人が多いらしい。
だからこそ、しっかりとした美味しい朝食を食べたいと思う事がある。
東京都江東区枝川のタクシー近代化センター指定レストラン『アトム』には、「これぞ朝食」と言いたくなる定食がある。それがハムエッグ定食だ。
ハムエッグ定食は、もやし、漬物、ご飯、お吸い物、そしてハムエッグとキャベツの千切りがセットになっている。
よりヘルシーに食べたいなら、奴豆腐やほうれん草のおひたしも注文するといい。
カットされたハムが3枚、目玉焼きと同化している。芸術作品のように美しく見えるのは、白身が黄身を薄い膜のように覆っているから。
表面に焦げ目がついてないので、ソフトな感じが伝わってくる。
ハムエッグに少し醤油をたらして、ご飯に載せて食べる。油と白身が一体化した香ばしさがいい。黄身の広がるまったり感がいい。ご飯と混ざって「卵かけご飯」のような深い味わいもいい。すべてが「朝食」な定食。
キャベツの千切りが調理時(保存時)に水に浸されていないので、野菜特有の甘みが感じられるのもたまらない。
お吸い物も香草の爽やかな風味が癒やしを与えてくれる。
ご飯が余ってしまった? そんなときは、カツ皿を注文するのが正しい選択。甘すぎず、濃すぎず、得も言われぬ幸せな肉の味。
絶妙な衣の香ばしさと玉ねぎの甘みが生きたカツをご飯に載せて食べるのだ。
水では物足りないと感じたら、レモンスカッシュを強く推奨したい。
飲んだ瞬間爽やかな甘さを感じさせ、続いてキーーーンと染み入る酸味がやってくる。暑い夏にこそ飲みたい最高のドリンクだ。
朝食な気分じゃなかったら、パスタのコスモポリタンも美味なる選択。
スライス肉がごろごろと入っているクリームパスタ。意外にも薄口でこってりしてないクリームが、野菜と肉に染み込んで、シチューのような味を作っている。
この店には、44年間動き続けている時計がレジカウンターの奥にある。時間がくるとボーンボーンボーンと鳴り、客たちの心を和ませる。
テーブルとして使われているゲーム筺体にも、懐かしさを感じてしまう。とにかく、いろいろと見るもの、感じるものが多い店だ。
ちなみに、ここのスタッフは池袋の名店で働いていた経験がある。
都心部から離れた小さな食堂なのにメニューのバリエーションが豊富なのは、さまざまな料理経験を積んできたスタッフがいるからなのかもしれない。
客層としては、隣のガススタンドのスタッフやタクシー運転手が多いようである。
朝と昼が逆転しているタクシー運転手もいるはずなので、そういう人にとっては、夜に食べてもハムエッグ定食は朝食と言えるかもしれない。
・このお店のポイント
最寄り駅から遠いのでタクシーが便利
和食、洋食、中華、なんでもある
スタッフがとても親切で優しい
エアコンの風があたらない席は暑い(寒い)
レモンスカッシュを飲めば元気になる
・インフォメーション
アトム
東京都江東区枝川3-8-8
11:00~20:00
日曜日定休日
JR潮見駅から徒歩10分、東京メトロ木場駅から徒歩20分、複数人で行くなら駅からタクシーに乗ると便利(1メーターほど)
ハムエッグ550円、カツ皿850円、コスモポリタン750円、オムライス790円、チキンガーリック焼き800円、酢豚、シーフードリゾット850円、平目フライ800円、鮭ステーキ850円
記事: 東京メインディッシュ https://main-dish.com/