雪をまとった富士山は、本当に神々しいですね。美の象徴とされる木花之佐久夜毘売命(このはなさくやひめのみこと)が麓の浅間神社や山頂に祀られ、縁起の良さを象徴する末広がりの山容は優麗。まさに日本を代表する霊山です。
初夢に見ると良いとされる“一富士二鷹三茄子”という諺にあるように、年末年始を迎えるこの時期に、富士山を間近に感じたいと考える人は多いことでしょう。
・各地で特徴がある富士山ビューポイント
そこで、富士山の周辺に数多あるベストアングルの中でも、筆者が特におすすめしたいビューポイントを4つご紹介。いずれの場所からも遮るものがなく、眼前に迫る大迫力の富士山が期待できます。
【1. ダイヤモンド富士を拝める竜ヶ岳】
登山をする人におすすめしたいのが、本栖湖の湖畔から登り始める『竜ヶ岳』。標高1485mのこの山は富士山の西側に位置しており、毎年12月上旬~1月上旬にかけて「ダイヤモンド富士」(富士山頂に太陽が重なる瞬間)を拝むことができます。
・山頂のど真ん中から昇る太陽
富士山頂のど真ん中から昇る太陽、竜ヶ岳山頂から見下ろす広大な青木ヶ原、そして静岡方面までぐぐーっと広がる裾野をいっぺんに眺めれば、想像を絶する美しさにしばし時を忘れること必至。
・冬山経験者と登るのを推奨
とはいえ、この時期は当然ながら積雪や凍結があるので、アイゼンや防寒等の山装備は必須。慣れた人でも登りに2時間以上を要するので、冬山経験がある人とご一緒に!
【2. 眼下に山中湖 / 眼前に末広がりのパノラマ台】
富士山周辺には、クルマで行くことができる展望台がいくつかあります。その中でも特におすすめが、山中湖からほど近い『パノラマ台』。ここは富士山の東側に位置し、眼下には山中湖を見下ろすことができる絶好のアングル。温かいコーヒーを持参して、沈みゆく太陽を背負う富士山を眺めながら、新しい一年に思いを馳せたいですね。
・駐車場は10台分のみ
木でできたテーブルとイスが一組とトイレがある観光で人気のスポットですが、およそ10台しか駐車できないのでご注意を。また、ここまではS字カーブの峠道なので、凍結に備えた冬用のタイヤは必須です。
【3. パノラマ台から30分! お手軽登山の明神山】
そのパノラマ台から30分ほど登ると、そこにはさらなる絶景が待っています。『明神山』(またの名を鉄砲木ノ頭 / てっぽうぎのあたま)と呼ばれる山頂から見えるのは、クジラ型の山中湖と南アルプスの山々。
・改訂で山梨県に標高トップ3が揃い踏み
南アルプスと言えば、2014年の春に発表された国土地理院による山岳標高の改訂によって、間ノ岳が北アルプスの奥穂高岳と並ぶ日本第三位となりました。富士山・北岳とともに、山梨県には日本のトップ3がすべて入ったことになります。
・こちらも冬山装備は必須
なお、明神山の山頂までは初心者でも手軽に登れる整った山道ですが、やはり冬は凍結等のリスクがあるので、冬山装備を忘れずに!
【4. 富士山を仰ぎ見られる田貫湖】
麓から日本一の高さの山を仰ぎ見たい! という方には、富士山のほぼ真西に位置する『田貫湖』がおすすめ。富士宮市からのアクセスがよく、富士山本宮浅間大社のお詣りと併せて訪れてみてはいかがでしょう。
・4月と8月はダイヤモンド富士スポットに
ちなみに、この田貫湖からは毎年4月20日前後と8月20日前後に「ダイヤモンド富士」を見ることができます。湖畔に広がるキャンプ場はよく整備されており、4月は桜の季節、8月なら避暑。のんびりテントで一晩を明かし、夜明けから太陽を待つのも楽しそうですね。
さて、そんな筆者は、来たる2015年の最初の日をどう過ごすか、この原稿を書きながら思案中。読者のみなさんにとっても、すばらしい新年となりますように。
記事: Photrip フォトリップ https://photrip-guide.com/
執筆: 大内征
大内征
自由大学「東京・日帰り登山ライフ」キュレーター。loca-rise production代表。“低山トラベラー”として100人を超える登山コミュニティを主宰。地方自治体や地域NPOとともに自然・文化をテーマにした地域課題の解決に取り組んでいる。「PEAKS」「ランドネ」等の登山誌寄稿や広報誌・ビジネス誌に連載を持つライターとしても活動中。