「やればいいってもんじゃない」という言葉は、料理にもいえること。大盛りにしても、味がよくなければ「むしろ大盛りであることが苦痛になる」し、激辛カレーにしても、辛いだけでカレー本来のスパイシーな美味しさがなければ、単なる辛いペーストである。
そんな店が多いなか、まさに「やればいいってもんじゃない」の代表ともいえるお店を2か月ほど前に発見!!ハンバーグ1枚が1キロもあるという……。
普通のハンバーグの大きさが180~200グラムなので、1キロということは約5倍はある計算だ。しかもこのお店、宮城県ではとても美味しくて有名なお店だという。美味しい料理を作るお店で、ハンバーグ1キロ……これは行かねばなるまい。
東京から新幹線で約2時間をかけ仙台に到着。1キロハンバーグの店『オニオン』はそこから自動車で30分ほどの場所にあった。……なーんかフツーの住宅街にあるんだけど……。
本当にここに大盛りがあるのか!? それによくよく考えてみたら、ハンバーグ1キロって、そんなに驚く量じゃないよなあ。もしかすると……、ここにやってきたのはちょっと失敗だったかなあ……。
私が店内に入ると、店主とみられる初老のシェフと、従業員が数人いた。案内をされてテーブルに座り、メニューを見る……ん? 普通のメニューだなあ。このぶんだと、1キロのハンバーグもたいしたことないかなあ。
筆者 でっかいハンバーグがあると聞いたのですが……。
店員 ああ、ありますよ。
筆者 メニューには、そんなにすごそうなハンバーグは……。
店員 ああ、もっとすごいのですね。あの壁に張ってあるハンバーグのことですか?
筆者 え? ……な、なななななななななななな!!
なんじゃこりゃああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
店員 とんでもない量ですよ。
筆者 ……じ、じゃあそれにします。
5キロのハンバーグ……。しかも……五重塔のように重なっているというではないか!! 前言撤回。「やればいいってもんじゃない」ではなく「これはやってもいい!!」。
いったいどんなハンバーグがくるか、まったく予想できない状況である。厨房のほうがとても騒がしくなっている。どうやら、5キロハンバーグを作るためにその準備にかかっているようだ。
…厨房をそっと覗いてみると……え!? ええっ!? フライパン5つ同時に使ってハンバーグ焼いてるゥゥゥゥゥゥゥゥ~!!しかも、そのフライパンいっぱいにひき肉が入ってるゥ~!!!!!! も、もしかして、1キロのハンバーグが……5段重ねになるのでは?!
重さ、大きさ、かたさを考えると五段重ねは……不可能じゃないか? できるというのかご主人!!
……できちゃいました……。200グラムのハンバーグ5枚分の1キロハンバーグが5枚だから、5000グラムか……どうしてこんな無茶なものを店主は……。
店主が、1歩に3秒ほどの時間をかけて私の席に向かってくる。それほどまでに慎重にもってこないと、とたんにハンバーグが崩れ落ちしてまうからだ。
……プリンでもないのにプルプルしているんですけど……。……ケンシロウみたいに5重のハンバーグから湯気が出てる……。
「おまちどうさま!! 全部食べてね♪」と店主。……はい……と言いたいところだが、全部は食えないような……(笑)。
ナイフとフォークでまずは五重塔の屋根の部分から食べてみる。…っていうか、食べるより前に、切るだけでハンバーグ全体がプルプル揺れて、いつ崩れてもおかしくない状態に!!
……こんなに緊張しながらハンバーグを食べるのはじめてだ。っていうか、「食べる」という行為に「緊張」なんてありえないよなぁ(笑)。
筆者 ご主人は……このハンバーグは食べたんですか?
店主 いや、小食だから食べたことないよ。
筆者 ……あはははは。
しかしこのハンバーグ、創業37年の店なだけはあって、味・調理法ともに、非常に洗練されたものになっている。ハンバーグの肉には牛、豚、鶏が使用されており、極限まで脂身を排除!! そうすることで脂っこくなく、そして飽きのこない味になる。
また、12種類の秘密スパイスの中には、この『オニオン』でしか入れていないという秘密スパイスが入っている。脂が少ないので、いわゆる肉汁は少ないが、ウマミが脂で流されることがないのですごく美味しいッ!!
つまり、この味はここでしか味わえないというわけだ。……っていうか、この五重塔ハンバーグ、食べられた人でも3枚が限度で、あとの2枚は持ち帰るそうだ。3枚でも3キロだぞ……スゴイとしか言いようがない。
店名:オニオン
業種:洋食レストラン
住所:宮城県黒川郡富谷町日吉台2-24-9
営業時間: 11:00~14:30 / 17:00~21:30
定休日:木曜日
※記事内容は取材時の情報です
記事: 東京メインディッシュ https://main-dish.com/