ギンギンに凍ったカチカチのカレーライスがあるという。アイスカレーは夏場にしか提供されておらず、通常メニューから普段は外されているらしい。だけど今は冬!! 今は食べれないのか!?
でも、どうしてもアイスカレーなる料理を食べてみたい!!ネーミングからして微妙すぎる料理ゆえに、少々不安もあるが、よほどの自信がない限り、アイスカレーなるものを新橋の一等地で作ろうとは思わないはずだ。
そこで私は、『カレー屋 nagafuchi』に電話をして、アイスカレーを作ってくれないか直交渉を試みたのだった。
筆者 そちらにアイスカレーがあると聞いたのですが。
店主 あーははは。ありますね。はい。
筆者 今も食べることは可能ですか?
店主 実は現在は作ってないんですよ。夏だけなんですよねー。
筆者 そこをなんとか作っていただけないでしょうか?
店主 うーん、たいしたことないですよ。逆に申し訳ないです。
筆者 申し訳ない?
店主 あまり凄いものではないですからね。ガッカリしちゃうかも。
筆者 いや、アイスカレーというだけで凄いと思います。
店主 申し訳ないカレーですけど、それでもよければ。
筆者 ありがとうございます!!
店主 では、明日以降お越しください。ご用意しておきますので。
筆者 嬉しいです!!
翌日さっそく『カレー屋 nagafuchi』へと向かった。私は10分をかけてJR新橋駅からお店まで歩いたのだが、銀座線の虎ノ門駅から歩けば5分で到着する。どちらにしても駅からちょっと離れているせいか、オフィス街であるにもかかわらず、人通りが少ない。
オシャレな喫茶店風の内装は、落ち着いて食事をするにはピッタリの雰囲気だ。店舗自体、代官山あたりにあってもおかしくないほどの、シックなセンスをしている。
私は、さっそくアイスカレーを予約した者であることを店主に告げ、窓際のテーブル席に座った。食事だけでなく、喫茶店としても気軽に使えそうだ。注文してから5分もたたないうちにアイスカレーが登場。温める必要がない分、すぐに完成するのだろうか?
カチカチに凍ったカレールーがアツアツのライスの上に、こんもりと乗っている。固まったルーに対して、ナイフで切るようにスプーンを刺すと、シャリッというアイス感を感じることができた。た、確かにこのカレーは凍っているのだ!!
一口大にしたルーとご飯をスプーンに乗せ、口の中に運ぶ……!! こ、これは初めての食感だ!! 冷たいカレーが喉の奥から後頭部にかけて、冷たい刺激を走らせる!! それど同時に、カレーのうまみが舌の上でどんどん解凍されてとろけていくではないかーッ!!
まさに、1万年ぶりに溶け出した南極の氷のようである(意味不明)!! 冷たいと舌が麻痺をして味を感じなくさせてしまうものだが、ライスがキッチリとアツアツなので、味覚は十分保たれる!! こんな計算された素晴らしいカレーがこの世にあっただろうか!?
素晴らしい!!
筆者 とんでもなく美味しいです!!
店主 ありがとうございます♪
筆者 どうやって作っているんですか?
店主 普段は、ドライカレーのルーなんですよ。それを凍らせたのです。
筆者 普通にドライカレーとして売っているカレーをですか?
店主 そうです。でも、寒くないですか?
筆者 大丈夫です。あー、凄く美味しい!! こんなの初めてですよ!!
店主 そうですか。それは良かった♪
市販のカレールーの場合だと、凍らせても脂成分が多い影響で脂っこく、とてもじゃないが食べられるものにはならない。しかし、『カレー屋 nagafuchi』が改良して作ったドライカレーのルーの場合は、脂が少ないせいか、凍らせてもスッキリとした味わいあるカレーとして成立するのだろう。スパイスが豊富に含まれているのも、凍らせても美味しいポイントかもしれない。
アイスカレーには、付け合わせとしてキャベツのコルースローが乗っていた。しかし夏場に提供しているときは、コルースローではなくドライフルーツを乗せているという。興奮しながらもアイスカレーを半分くらい食べ終わった後、店主がカレーの入ったお皿を持ってきた。
店主 これが、ドライカレーのルーです。
筆者 へぇー!! とてもサラサラしているんですね。
店主 食べて冷えたのではないですか? お召し上がりください。
筆者 いいのですか? ありがとうございます!!
店主 いえいえ。アイスカレーは冷たいですからね。
筆者 これも凄く美味しいです!!
店主 それは良かった♪
確かに、アイスカレーは邪道かもしれないし、亜流かもしれない。しかし、それでも美味しいのだから存在は認めなくてはならない。そして、そこには店主の並ならぬ努力があることも忘れてはならない。
店名:カレー屋 nagafuchi
業種:カレー
住所:東京都港区西新橋3-5-1
営業時間: 11:00~21:00
定休日:日曜、祝日
席数:29席(カウンター7席、テーブル22席)
※記事内容は取材時の情報です