古くから続く香港の歴史は、多彩な文化を生んできた。特に1840年代から150年以上続いたイギリス植民地時代の文化と中国文化の融合は、さまざまな分野に影響を及ぼし、人々の営みだけでなく、グルメやアートなども色濃く影響を受けている。
・絶対に行くべき深水埗スポット
そんな香港独自の文化を体験したいなら、深水埗(シャムスイポー)を訪れない手はない。ここは香港のアート、下町、グルメなどを知ることができるマストな地域で、フォトジェニックな香港の夏を体感できる場所でもあるのだ。今回は、そんな深水埗の「絶対に行くべきスポット」をお伝えしたい。
・香港の若手デザイナーズブランド / Doughnut
もしファッションに興味があるのであれば、雑貨なども複数販売されている深水埗のバックパック店「Doughnut」( 68 Fuk Wa St, Sham Shui Po, HongKong )に立ち寄りたい。大学生2人が始めた店で、機能的でありながらセンスあるデザインに定評があり、「香港の若手デザイナーによるブランド」として地位を確立している。
ちなみにこの「Doughnut」という店名だが、「毎日のように楽しめ、幸せになれる存在」という意味をこめて命名されたとのこと。毎日快適に使うためには、機能性だけでなく心を弾ませるデザインも重要ということだろう。
店内で特に目を引いたのが、マカロンカラーのバックパック。洋服にマッチしやすいデザインに仕上げており、とくに女性にピッタリの商品といえる。素材もナイロン生地が多く使用されているため着用しやすく、タウンユースにピッタリだ。
ブラックシリーズは、モード感のあるタウンユースだけでなくアウトドアユースも兼ねる機能とデザインをもった、オールマイティバックパック。見た目よりも容量が大きく感じられるが、幅が狭いので「ゴツさ」はなく、繊細なスタイルにも合わせやすい。バイタルブラックの容量は18リットルもあるが、それより小さく見える。
2007年から続く「Doughnut」ブランドは、すでにパックパックデザインのカリスマ的存在として地位を確立。さまざまなコンテンツとのコラボレーションを展開しており、日本の人気漫画「ワンピース」(ONE PIECE)とのコラボ商品も販売。日本の漫画ではあるが、香港で生まれた香港だけのオリジナル商品というわけだ。
<商品 / 参考価格>
ワンピースコラボ 財布 80香港ドル(約1100円)
ワンピースコラボ パックパック 400香港ドル(約5600円)
パックパック マカロンカラー 450香港ドル(約6300円)
バイタルブラック バックパック 490香港ドル(約6900円)
……ほか多数
[map_card]Doughnut
住所: 68 Fuk Wa St, Sham Shui Po, HongKong
時間: 10:30~20:00
休日: 無休(臨時休業等要確認)
https://doughnutofficial.com/index.php/
[map addr=”68 Fuk Wa St, Sham Shui Po, HongKong”][/map_card]
・レトロな玩具店「Shop Little Two」で興奮!
ちょっとした掘り出し物、いや、眠れる宝物を発見したいなら、深水埗のヴィンテージ玩具店「Shop Little Two」に。同店には1970年代のヴィンテージ玩具をメインに、多数の商品が陳列されており、欧米だけでなくアジア各国の玩具を購入することができる。
「スター・ウォーズ」や「スター・トレック」などの北米玩具もあれば、「仮面ライダー」シリーズなど日本の商品も数多く並べられ……、いや、眠っている。見る人が見れば「激レアすぎるヴィンテージ玩具」が潜んでいるかもしれない。
また、玩具だけでなく雑貨や生活用品も多数売られており、マニア!でなくてもじゅうぶん楽しめるスポットだ。価格帯は商品により大きく違い、アンティークアクセサリーの多くは210香港ドル(約3000円)以下で売られているものが多く、日本のレトロなキャラクターシールシートは150香港ドル(約2100円)ほどだった。
ちなみにこの周辺の地域は、服地や雑貨の問屋が集まる問屋街で、街を歩いて見ているだけでも楽しい気分になる。「Shop Little Two」をメインにぐるりと問屋を巡ると、最高の散歩になるだろう。
<商品のジャンル>
ヴィンテージ玩具
ヴィンテージ看板
ヴィンテージ家具
雑貨(アクセサリー、シール、ステッカー等)
古本(雑誌、書籍、アートブック等)
中古DVDやブルーレイディスク
食器(マグカップ、皿、ガラス瓶等)
……ほか多数
[map_card]Shop Little Two
住所: 100 Nam Cheong Street, Sham Shui Po Hong Kong
時間: 14:00~19:00
休日: 無休(臨時休業等要確認)
[map addr=”100 Nam Cheong Street, Sham Shui Po Hong Kong”][/map_card]
・漢方なら雷生春へ
深水埗駅と隣の太子駅の間にいかにも趣(おもむき)のあるビルがある。このビルは1931年に建てられ、歴史建築にも認定されている。
以前は店舗兼住宅で、現在は漢方を使用した診療所で、1階が漢方サロンになっており、漢方を買うことはもちろん、本格的な漢方茶を飲むこともできる。診療所ではあるが、観光客がじっくりと漢方を吟味したり、味見したりできる人気スポットだ。
カフェではないので漢方茶は立ち飲み。注文すると瓶に詰められた漢方茶をコップに注いでくれる。ちなみに、観光客は1階のみ利用、2階は診療所なので一般公開されていないが、ガイドツアーに申し込むと見学ができ、漢方や建物の歴史を知ることができる。
香港には美味しいお茶や漢方を提供しているティーショップが多数あるが、診療所が運営している漢方の店は極めて珍しく、健康と美容、そしてディープな香港を体験したい人には行く価値のあるスポットといえるだろう。
<漢方1包 / 参考価格>
補気健脾湯 40香港ドル(約560円)
川貝止咳湯 45香港ドル(約630円)
潤肺養心湯 45香港ドル(約630円)
丹田杜仲湯 45香港ドル(約630円)
……ほか多数
<漢方茶1杯 / 参考価格>
雷生春夏桑菊 8香港ドル(約110円)
雷生春五花茶 8香港ドル(約110円)
[map_card]雷生春
住所: 119 Lai Chi Kok Rd, Mong Kok, Hongkong
時間: 10:00~19:00
休日: 祝日
[map addr=”119 Lai Chi Kok Rd, Mong Kok, Hongkong”][/map_card]
・ミシュラン獲得B級グルメ店「添好運」の甘い誘惑
世界中の美味しい飲食店が掲載されている、グルメガイドブック「ミシュランガイド」。そこに掲載されている魅惑のグルメ店が、香港には無数に存在している。なかでもユニークなのがベイクドャーシューパオ。トロトロに煮込まれたチャーシューがメロンパンのなかにたっぷりと入っている料理だ。
ミシュランに掲載されるほど絶品なベイクドャーシューパオが食べられるのは、「添好運點心專門店 深水埗店」(9-11 Fuk Wing St, Sham Shui Po, Hongkong)。ここでは香港の伝統的な飲茶が堪能できるだけでなく、このユニークなスイーツを食べることもできるとあって、海外からの観光客も訪れるほどの人気ぶりだ。
実際にベイクドャーシューパオを注文してみると、見た目は完全に日本のメロンパン。しかし半分に割ると、中からジューシーなチャーシューが姿を現す。甘さのかに醤油の香ばしい風味がたまらない。ミスマッチに思える組み合わせだが、食べれば抜群の相性であることが分かる。
飲茶を楽しみつつラストにベイクドャーシューパオを食べれば、「伝統グルメ」と「先進グルメ」、2つの「香港グルメ」を堪能できるフルコースになるだろう。
[map_card]添好運點心專門店 深水埗店
住所: 9-11 Fuk Wing St, Sham Shui Po, Hongkong
時間: 10:00~21:30 土日9:00~21:30
休日: 無休(臨時休業等要確認)
[map addr=”9-11 Fuk Wing St, Sham Shui Po, Hongkong”][/map_card]
・ワゴン式飲茶レストラン「中央飯店」で本場の味を
ビルの奥の奥にある、まさに隠れ家的(!?)と言っても過言ではないワゴン式飲茶レストラン「中央飯店」。店内は独特の雰囲気があり、現地の人々が絶品飲茶に舌鼓を打っている。とはいえお店は観光客も大歓迎なので、物怖じせずに入りたい。
ちなみに香港(や中国)では、お茶で食器を洗ってから飲む習慣があるで、まずは出された食器をきれいに洗う。そんなことをしているとワゴンに多数の料理を乗せた店員がやってくるので、食べたいものをいただく。価格は特、大、中、小の4つのランクで分けられているので、選んだ料理がどのランクなのか確認しつつ注文してほしい。
なによりオススメしたいのが腸粉だ。これは米の粉で作ったプルプルツルツルの生地で具材を包んだもので、具は野菜や魚介類などさまざま。熱々で出されるが見た目が涼しげなので、食べていると爽やかな感覚になり夏にピッタリ。タレは醤油ベースで濃いめ。これをたっぷりとかけ一気に食べてほしい。生地のシンプルな旨味が具の旨味を引き立てている。
水晶鮮虾餃は他の料理よりも安いにもかかわらず具だくさんで、特に海老のプリプリとした食感がたまらない。そもそもそのまま食べても美味なので、最初はタレなしで挑戦してほしい。ちなみに、価格ランクがつけられていない料理もあるが、それらはメニューに書かれたそれぞれの金額を払えばいい。
50年以上の歴史あるこの「中央飯店」。地域住民にとってこの味が「日常の味」と化しており、ヘビーローテーションで毎日のように通っている客もいるという。まさに、香港の人々が愛する味だ。
<価格ランク>
特 13:00まで24香港ドル(約340円) それ以降23香港ドル(約320円)
大 13:00まで18香港ドル(約250円) それ以降17香港ドル(約240円)
中 13:00まで16香港ドル(約230円) それ以降15香港ドル(約210円)
小 13:00まで14香港ドル(約200円) それ以降13香港ドル(約180円)
<料理 / 参考価格>
排骨腸粉 13:00まで18香港ドル(約250円) それ以降17香港ドル(約240円)
水晶鮮虾餃 13:00まで18香港ドル(約250円) それ以降17香港ドル(約240円)
潮州蒸粉果 13:00まで14香港ドル(約200円) それ以降13香港ドル(約180円)
梅菜扣肉 36香港ドル(約500円)
滑蚕湯麺 32香港ドル(約450円)
叉焼飯 37香港ドル(約520円)
叉鶏飯 37香港ドル(約520円)
……などほか多数
[map_card]中央飯店
住所: G/F, Tung Lo Court, 140 Tai Po Road, Sham Shui Po, Hongkong
時間: 6:00~23:00
休日: 無休(臨時休業等要確認)
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・魅惑の豆腐料理が堪能できる「公和荳品廠 本店」
地下鉄の荃湾線深水埗駅から徒歩3分という便利な近場にあるのが、大豆製品の専門店「公和荳品廠 本店」。あらゆる豆腐料理がズラリと用意されており、テイクアウトはもちろんのこと、その場で食べることも可能だ。
この店は豆乳プリンが一番人気で、丼にこぼれそうなくらいたっぷりと豆腐が盛られて提供される。しっかり冷やされた豆乳プリンは夏にピッタリの料理で、繊細な大豆の甘さが爽やか。キュンとした甘さを求めるなら、甘いパウダーをふりかけて食べるのもいい。ちなみに豆腐プリンは熱々バージョンも注文可能だ。
そして一緒に飲みたいのが豆乳である。無糖、微糖、甘口、あらゆる甘さを選ぶことができるので、豆腐プリンをプレーンで食べたなら、豆乳は甘めにするなど調整も可能だ。こちらも熱い豆乳と、冷たい豆乳を選ぶことができる。また、いろんな豆腐料理を食べたい人は豆腐プリンのほかに「揚げコンボ」(いろんな揚げ豆腐盛り合わせ)を注文すると良いだろう。
<料理 / 参考価格>
豆腐プリン 大12香港ドル(約170円) 小10香港ドル(約140円)
豆乳 大10香港ドル(約140円) 小6香港ドル(80円)
揚げ豆腐4個 11香港ドル(約150円)
揚げ豆腐パフ5個 11香港ドル(約150円)
揚げコンボ 15香港ドル(約210円)
……などほか多数
[map_card]公和荳品廠 本店
住所: 118 Pei Ho Street, Sham Shui Po Hong Kong
時間: 8:30~20:00
休日: 無休(臨時休業等要確認)
[map addr=”118 Pei Ho Street, Sham Shui Po Hong Kong”][/map_card]
・散歩をするにも最適な場
深水埗エリアは、地下鉄の荃湾線と観塘線の双方が走っているため訪れやすい地域であり、ウインドウショッピングや食べ歩きなど、散歩をするにも最適な場所だ。
夏の暑い時期だからこそ、美味しさが引き立つスイーツも堪能できる。深水埗に行かずして香港を知ることはできない。そう言っても過言ではないのである。オシャレをしてぶらりと歩きたい香港、それが深水埗。
もっと詳しく読む: 深水埗(シャムスイポー)でフォトジェニックな香港の夏を満喫 / グルメとアートと香港文化の聖地(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2018/07/06/hongkong-sham-shui-po/
※日本円表記は2018年7月現在のものです
取材協力: 香港政府観光局 www.DiscoverHongKong.com