香港は地図上で見ると小さく見えますが、それは大きな間違い。1106平方キロメートルの面積を有しており、その広さは東京都の約半分。にもかかわらず、起伏の激しい地形で人々の生活する平地がわずか25%くらいで、そこに約734万人が生活を営んでいます。
・中環で感じるエキゾチック香港
そんな香港ですが、地域によって見せる姿を大きく変えます。たとえば中環(セントラル)と呼ばれている地域は、香港経済、いや、アジア経済を支える金融の中枢であり、商業地区であり、そして領事館が多数あるインターナショナルな地域でもあります。1865年、中環にある香港上海銀行本店の設立後から香港通貨の発行が開始されるなど経済の発展が目覚しく、2018年現在も経済中枢地区なのは間違いありません。
・そもそも中環はどこなの? 誰もが知ってるあそこ!
中環は九龍半島の向かい、香港島のビクトリアハーバー沿いに位置する地域です。テレビや雑誌などで香港が紹介される際、海と港と高層ビルの夜景がイメージとして紹介されますよね。まさにその高層ビル群こそ、中環といわれる地域です。
実はここ、遠くから見れば素晴らしい夜景となりますが、その摩天楼の麓には、ディープなアートの世界が広がっているのです。
・元SMAP香取慎吾のパブリックアートに感動
中環に立ち並ぶ摩天楼の麓はオールド・タウン・セントラル(OTC)と呼ばれており、数多くのストリートアートが壁や建築物に描かれています。アーティスティックな作品が多いため、国内外からたくさんの観光客が訪れて撮影し、インスタグラムやFacebook、Twitterなどに写真を掲載しています。そう、インスタグラムの聖地にもなっているのです。
そんなOTCには、日本のアイドルグループとして著名なSMAPの元メンバー、香取慎吾さんが描いたストリートアートがあるのをご存知でしょうか。しかもこの絵は誰でも見られるパブリックアートとして公開されているのです。
この絵を完成させるため香取慎吾さんは香港に渡航。1日6時間、3日間も描き続け、合計18時間をかけて完成させた力作です。Hollywood Road(荷李活道)と、坂道のShelley Street(些利街)が交差する場所の壁に描かれていて、多くの人たちが行き来する活気ある場所にあります。
香取慎吾さんは20年前に香港で映画の撮影をしたことがあり、当時から香港で「大口仔」(大きなお口の男の子)と呼ばれているそうです。そんな縁もあって、この絵のタイトルは「大きなお口の龍の子」(大口龍仔)に。彼は「この絵で色々な人にパワーや与えたい」と話しています。
そのためここは日本のファンのみならず、アジアのファンの聖地になりつつあります。実際に現地で絵を見てみると、赤を基調としたそのダイナミックな作品からは、エネルギーを感じることができました。これは確かにパワーを得られる絵です!
[map_card]大きなお口の龍の子(大口龍仔)
住所: Marks & Spencer Food, 中環 香港(建業榮基中心 / マークス&スペンサーの横)
時間: いつでも見られます
休日: いつでも見られます
最寄駅: 中環駅 香港駅 / ほか上環駅からも徒歩圏内
[map addr=”中環中環荷李活道32號 中環荷李活道32號”][/map_card]
・歩くだけでエンタメ体験! 様々なストリートアート
OTCのこの地域には、感動的な香取慎吾さんのパブリックアートだけでなく、無数のストリートアートが描かれています。
階段を、路地を、道を歩いているだけで目に入ってくる作品の数々は、ただ歩いているだけで楽しめる最高のエンターテインメントといえるでしょう。特に人気なのは「旧家の壁画」で、グラハムストリート(嘉咸街)にあります。
「旧家の壁画」はノッポな家がギュギュッと敷き詰められている作品で、OTCに数あるストリートアートのなかでも特に人気があるもの。ここでセルフィー写真を撮るため海外から訪れる観光客もいるほどです。坂道に位置するこの作品の前には、ひっきりなしにインスタグラマーが訪れています。
[map_card]旧家の壁画
住所: Intersection of 46 Graham Street and 48 Hollywood Road, Central
時間: いつでも見られます
休日: いつでも見られます
最寄駅: 中環駅 香港駅 / ほか上環駅からも徒歩圏内
[map addr=”Intersection of 46 Graham Street and 48 Hollywood Road, Central”][/map_card]
・新たな注目スポット!「大館」で歴史と文化を感じよう
香取慎吾さんのストリートアートからも歩いてすぐのところに2018年5月末中環の新たなランドマークともいえるスポット「大館(タイクン)」ができました。
ここは、元々セントラル警察署、ビクトリア刑務所、セントラル裁判所などの建物が密集していた場所で、10年かけて保存とリノベーションされ、古くは170年前の建物を含む16棟の歴史的建造物と新たに2棟新しい建物を加えてよみがえりました。
イギリス統治時代の趣を感じる多くの建物の中には、地域やこの施設の歴史を感じる展示に加え、新しくショップやレストランが入居しています。実際に監房として使われていた建物も公開されています。ひとつの狭い部屋に多い時で7~8人の囚人が生活をしていたそうです。
新たに加えられた2棟のビルのひとつは「JC Contemporary」とうい現代アート美術館。建物は世界的な建築事務所の Herzog & de Meuron がデザインしたそうで、建物の内部の美しい階段は早くもフォトジェニックだと話題を集めています。
2018年7月現在は、入場は無料ですが、大館に入るには事前に公式サイトでオンラインの予約が必要です。
また、ほとんどの展示スペースは20:00前後に閉まります。各お店、レストラン、エキシビションの営業時間は公式サイトでご確認を。
[map_card]大館(Tai Kwun)
住所: 10 Hollywood Road, Central, Hong Kong
時間: 11:00~23:00 / ビジターセンター11:00~20:00
URL: https://www.taikwun.hk/en/
[map addr=”10 Hollywood Road, Central, Hong Kong”][/map_card]
・Tycoon Tann (大官廳)の芸術的な胡麻団子
視覚のアートで心が癒やされたなら、お次は味覚のアートで癒やされてみましょう。美味しい香港料理の名店「Tycoon Tann」(大官廳 / 74 Wellington Street, Central, Hong Kong)では、巨大な胡麻団子を食べることができます。
テーブルに出された胡麻団子のサイズは、まるでバスケットボールのような大きさ。しかも内部にライトが入っていて、まるで天体のような美しさに感動です。見た目で楽しんだあとは、ウェイターさんが食べやすいようにカットしてくれます。
お味は……薄くて香ばしく、そしてほんのりと甘いテイストがたまりません! その大きさに視覚で驚いて、さらに味覚でも感動できるスイーツといえるでしょう。この胡麻団子の正式名称は「金龍吐珠」といいます。実はこのスイーツの前にたっぷりと香港料理を堪能したのですが、それはまた別の記事にてご紹介しますね。もちろん、メインディッシュも絶品でしたよ。
<スイーツ / 参考価格>
金龍吐珠 胡麻団子 288香港ドル(約4000円)
三十年陳皮紅豆沙 マンダリンピールの小豆団子 58香港ドル(約820円)
椰青果凍 ココナッツパンナコッタ 58香港ドル(約820円)
生磨蛋白杏仁茶 アーモンドクリームティー 58香港ドル(約820円)
……ほか多数
[map_card]Tycoon Tann (大官廳)
住所: 74 Wellington Street, Central, Hong Kong
時間: 11:30~15:30 18:00~23:00 土日祝11:30~15:30 18:00~23:00
休日: 無休(臨時休業等要確認)
最寄駅: 中環駅 香港駅 / ほか上環駅からも徒歩圏内
[map addr=”74 Wellington Street, Central, Hong Kong”][/map_card]
・最後はスターフェリーでビクトリア・ハーバーを渡る
中環でたっぷりとアートを堪能したあとは、香港島と九龍半島を結ぶスターフェリー(Star Ferry)でビクトリア・ハーバーを渡るのはいかがでしょう。どの季節に乗っても風流ですが、夏は海風が気持ちよくてオススメですよ。
また、スターフェリーは便数が多く、大人料金でも2.2~3.7香港ドル(約30~50円)と激安で、便利でお徳にビクトリア・ハーバーのトリップを楽しめます。中環のスターフェリー乗り場からは、九龍半島の尖沙咀(Tsim Sha Tsui)にある港に到着します。
ちなみにスターフェリー乗り場の近くには巨大観覧車(The Hong Kong Observation Wheel)があるので、スターフェリーに乗る前に体験してみてはいかがでしょう? また、夜のワンチャイ地区や対岸の尖沙咀では、中環の摩天楼が幻想的なレーザーや光を放つ「シンフォニー・オブ・ライツ」を楽しむこともできますよ。
[map_card]スターフェリー(Star Ferry)
住所: Central Pier, Central, Hong Kong Island
時間: 中環から尖沙咀6:30~23:30 / 約6~12分間隔
休日: 無休(臨時休業等要確認)
大人運賃: 下層2.2香港ドル 上層2.7香港ドル / 土日祝は下層3.1香港ドル 上層3.7香港ドル
最寄駅: 香港駅 / ほか中環駅 上環駅からも徒歩圏内
[map addr=”Central Pier, Central, Hong Kong Island”][/map_card]
もっと詳しく読む: アガる香港! アートを感じる香港の街 オールド・タウン・セントラル(中環)が凄い / 香取慎吾アートも(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2018/07/10/hongkong-old-town-central/
※日本円表記は2018年7月現在のものです
取材協力: 香港政府観光局 www.DiscoverHongKong.com