カルビ
1030円
世の中には無数に「隠れ家的」といわれる飲食店があるが、たいていは隠れていない。しかしながら、今回ご紹介する食堂は本当に隠れている、極めて珍しい隠れ家的な食堂。たいてい、隠されたものには価値がある。そこで煙に包まれて食べる焼肉が絶品なのだ。
・基本的に引き戸が全開
山口県周南市のJR徳山駅から徒歩3分。商店街の路地にひっそりと隠れている店が「まつき食堂」(山口県周南市銀南街47)だ。路地の幅は70~80センチほどだろうか。2人並んで進むことができないほど狭い路地。その路地に面して入口がある「まつき食堂」は、あまりにも狭いので基本的に引き戸が全開となっている。
・常連の多くが焼肉を食べる
ここは食堂なので、ラーメン、うどん、親子丼などを食べることができるが、常連の多くが焼肉を食べる。
4人席のテーブルが一列に並んでおり、鉄板で一人焼肉をしている客も多くいるものの、相席が基本である(さすがに焼肉の鉄板を相席同士で共有することはないが)。
・中央部がすり減った鉄板
徳山に住む住民にとって「まつき食堂」は地元の味。曾祖父、祖父、父親、自分と、一族で通い続けている家庭もあるほど。創業から65年以上たった現在、毎日のように焼肉を焼いてきた鉄板は見ものだ。
あまりにも使い続けられているため、中央部がすり減ってへこんでいるだけでなく、フチの部分が焦げついてボコボコになっている。そこには、訪れた客たちの思い出と、他の焼肉店では出せない旨味が染み込んでいる。
・ 1030円のカルビでここまで霜降り
今回はカルビとホルモンをオーダー。酒も飲みたいところだが、焼肉の美味しさはライスによって増幅される。よって半ライスを追加注文した。ほどなくして店主がキャベツのザク切りの上にカルビとホルモンを乗せた皿を持ってきた。えっ!? 1030円のカルビでここまで霜降りなの!? その見た目に驚いた次第。
・銀色ほど美味しい加熱音
さっそく肉を鉄板に乗せると、バチバチッ! という心地良い加熱音(そう呼んでいる)が響いてきた。焼肉はこの加熱音がないと美味しい気がしない。この店の鉄板は中央部がすり減って焦げ、真っ黒になっているのだが、黒いほど美味しい加熱音を発することも知っている(経験から)。
・トリプル連係プレイによるゴール
レアが好まれる時代だが、徹底して焼いた焦げつきカルビほどライスに合うものはない。しっかり焼いてタレに浸してライスと共に頬張る。これだ。これこそ焼肉の醍醐味。最初は濃いめのタレの塩分と旨味を感じ、引き続きサーッと肉汁が重厚なコクを生む。完璧な肉とタレとライスのトリプル連係プレイによるゴール。「まつき食堂」の店主は、そのスキルを極める凄腕の監督といえよう。
・煙に包まれる覚悟で来店
ちなみに、「まつき食堂」には暗黙のルールがある。たとえ自分が焼肉を食べなくとも、他の客が焼肉を食べ始めたら、煙に包まれる覚悟で来店しよう。この店にきて、煙から逃れることはできないのだ。
もっと詳しく読む: 路地裏の極めて小さな食堂で食べるカルビ焼肉(東京メインディッシュ) https://main-dish.com/2016/07/21/yamaguchi-tokuyama-matsuki/
[map_card]まつき食堂
住所: 山口県周南市銀南街47
時間: 11:00~21:00
休日: 不定休
http://tabelog.com/yamaguchi/A3505/A350501/35004044/
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