【現地取材】本当にジャンキーだらけの町なのか! ラオス・バンビエンとドラッグの関係を調べる

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ラオスの観光都市「バンビエン」と一緒に検索されている言葉を解析ツールを使って調べてみると、「大麻」「キノコ」「オピウム(アヘン)」といったドラッグの名前が多く出てきます。Twitterで「バンビエン」と一緒につぶやかれている言葉を調べてみても、同様にドラッグについてのつぶやきが多く見られます。

自分はバンビエンに住み始めて6ヶ月が経ちました。確かにここはマリファナやアヘンなどのドラッグを手に入れやすい土地です。町のなかには、若者が吸うアヘンの匂いが半径10mほど漂う区画もあります。でもドラッグが蔓延しているのはタイやカンボジアの一部でも変わりません。それなのに、なぜラオスのバンビエンだけが〈ドラッグの町〉として日本人に知られてしまっているのでしょう。現在の様子をお伝えしがてら考えてみたいと思います。

・バンビエンで普及しているドラッグの種類は?
バンビエンで普及しているドラッグは、マリファナやアヘン、マジックマッシュルーム。かつてゴールデントライアングルと言われたミャンマー、タイ、ラオスの三国をまたぐエリアではアヘンを作るための芥子や大麻が栽培されてきた歴史があり、ラオス北部ではアヘンが比較的手に入りやすい傾向にあります。

牛の糞から生えてくるマジックマッシュルームは、農耕で牛を使うことが多い地方では自生していることが多いのです。それらのドラッグはラオスの地元民にも嗜好品として広まっている現状があります。

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・バックパッカーが発展させた町
バンビエンは70年代に欧米のツーリストに発見され、90年代以降にはヨーロッパからバックパッカーが数多く流入してきました。バンビエンでマリファナが普及していった理由は、バックパッカーが大量に訪れ、彼らが町を発展させてきた歴史と深く関係があります。

バックパッカーの中にはマリファナを吸うのが好きな人が一定数いて、もともと地元で育てられていたマリファナが旅行者に普及し、さらにアヘンなども摂取するようになり、評判が評判を呼んで……という形でバンビエンは〈ドラッグの町〉になってしまいました。

マリファナ、バックパッカー、時代性の3要素が絡み合い、バンビエンのイメージが形作られてしまったのです。

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・今もドラッグは蔓延している? バンビエンの現在
冒頭で触れたとおり、バンビエンでは今でもある種のドラッグを簡単に手に入れることができます。一方で2010年代以降は警察による摘発の動きも大きくなってきています。

ゲストハウスには不定期に調査が入り、毎月少なくともで10人以上の外国人が摘発を受けています。一度捕まったら500ドルの罰金を払うまでパスポートを取り上げられてしまいます。罰金の効果は大きく、今では町中で堂々とマリファナを吸っている人の姿を見ることはほぼありません(たまーに見かけます)。北欧からバンビエンの町に移住してきて約20年、ゲストハウスの経営などを行うAさんは以下のように語ります。

「これまで何人も摘発されてきた旅行者を見てきた。警察は安宿の周りをいつも見張っている。マリファナの臭いでバレることを恐れて川沿いのテラスで吸っていても、川の向こうから警察がチェックしてガサ入れすることもある。バンビエンでは、誰か一人がマリファナを吸っていて捕まったら、そのグループ全員が罰金を支払わなければいけない。その中に吸っていない人が混ざっていても関係ないんだ。警察は罰金を徴収するのに必死なんだよ。警察のことをいくら説明しても、バンビエンでマリファナを吸う旅行者はいる。捕まってから泣きつかれても、自分にできることはないんだ」

・ドラッグに関するバンビエンの厳しいルール
ゲストハウスに長く泊まっていると、バンビエンで摘発された経験を持つバックパッカーに一人は出会うはず。Aさんが言うようにバンビエンでは一緒にいる誰かがマリファナを吸って捕まると、吸っていない人も同じ額の罰金を支払わなければいけません。

「マリファナ吸い放題の町」と多くの日本人に思われているバンビエンは、実際には同じラオスの観光地、4,000アイランド(シーパンドン)やパクセーよりも規則が厳しいのです。

マリファナが販売されているバーで吸っていて摘発された例もあります。メニューにも載っているのに摘発されるなんて理不尽だと感じるでしょう。でも実際に捕まっている人はいるのです。

トゥクトゥクのドライバーや個人商店など、たまに「ハッパ」と日本語で声をかけて来る人もいます。販売している業者が警察に告げ口をして摘発されるケースもあるため、インスタントにマリファナを買ってしまうのことの危険性も知っておく必要があるでしょう。

バンビエンに行ったら町中のどこにでもヒッピーがいて、マリファナを吸いながら歩いている。というイメージは古いものです。現在のルールが撤廃されない限り、この傾向はこれからも変わることはなさそうです。

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・それでも来る価値がある町、バンビエン
覚醒剤やアヘンは別として、マリファナは世界中で合法化の動きを見せています。アメリカでは2017年8月時点で5州が解禁され、医療用としての使用は25州で認められています。2018年には解禁される州の数はさらに拡大する予定です。オランダのアムステルダム、ベルギー、ポルトガル、チェコ、ドイツのベルリン、オーストリア、ウルグアイ、ジャマイカなどが大麻の使用を認めています。カナダも近い将来合法化が見込まれている国のひとつです。

東南アジアではどこの国でもマリファナは合法化されてはいません。手に入れやすいからと国のルールを破ってドラッグを使うことは賢い判断とは言えないのではないでしょうか。

バンビエンは豊かな自然を楽しむだけでも価値のあるのんびりした町です。〈ドラッグの町〉というイメージはそろそろ更新されるべきだと考えます。西洋人だけではなく韓国や中国からの観光客が増え、チュービングやジップライン、クライミングといった自然を使った様々なアクティビティが観光のメインとなってきているこの町を、古い価値観抜きでぜひ楽しみに来てください。きっと新しい発見があるはずです。

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もっと詳しく読む: ジャンキーだらけの町なのか! ラオス・バンビエンとドラッグの関係を調べる(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2017/08/25/laos-drug/


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