スターリンからの「ありがた迷惑」な贈り物 / ワルシャワにもあった負の遺産

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第二次世界大戦の爪痕や占領された過去をぬきに、ポーランドを語るのは難しい。しかし終戦から70年以上の時を経て、首都ワルシャワ(Warszawa)は、旧市街を中心に多くの人が訪れる大都市へ生まれ変わった。だが実はこの街にはひとつ、現地人も顔をしかめる“異質”な観光スポットがある。

・かなしいほど煌びやかな名所
メトロやトラムの路線が交差するワルシャワ市街中心地。ここにそびえる地上30階、高さ124mの展望台からはワルシャワを眼下に望めるのだが、このスポットを、旅人のわれわれに現地の人たちは決して「行ってみな」とは勧めないだろう。

高層ビルもさほどなく、情趣のある建築が多いワルシャワの街並みにおいて、この「文化科学宮殿(Pałac Kultury i Nauki/パーワツ・クルトゥールィ・イ・ナウーキ)」ずば抜けて大きい。さらに夜には小林●子級にライトアップされるのだが、周辺の建物のほのかな明りを打ち消すかのようなネオンが灯る。なぜこんなにもバランスが悪いのか。

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・ポーランドを支配下においたソ連のスターリンが構想
実はこの建物にはかなしき来歴がある。4年間にわたる建設期間をへて、1956年に完成した「文化科学宮殿」は、当時のソ連の最高指導者スターリンの命によって建てられたものなのだ。

1945年から44年間、事実上ポーランドはソ連に主権をにぎられた“衛星国”だった。そのための共産主義カラーが全面に出た「文化科学宮殿」建立に対し、嫌悪感をもつポーランド人も少なくなかったそうだが、いかんせんポーランドには拒否権はなかったので、ここも問答無用につくられた。スターリンによる、独我唯尊型のランドマークである。

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・ポーランド人にとっては第二の負の遺産?
「文化科学宮殿」の話を聞こうと、筆者が道行く人3・4人に問いかけても“That high tower…”“The light-up buiding…”とその名を呼ばない。ワルシャワ観光局が公式地図にて推奨する、見どころを巡るコースにも含まれていない。地図上には建物のイラストがあるのみで、件名すら記されていなかった。

ワルシャワを発つ前夜に再度訪れると、やはり強烈な光を発する姿があった。一方、通行人はそのライトアップに目もくれない。救いのない“負”のオーラが「文化科学宮殿」一帯に漂っていた。

もっと詳しく読む: スターリンからの“ありがた迷惑”な贈り物 / ワルシャワにもあった負の遺産(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2016/11/24/warsaw-worldheritage/


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