1986年4月26日に発生した、チェルノブイリ原子力発電所事故。かつてはソビエト連邦の領土内だったが、現在はウクライナ国内に属する。いま現在も放射性物質が存在しており、非常に高濃度な放射線が放たれている場所もある。それゆえ、一般人は許可なく入ることはできない。
・ここで一生を終えることを決意した男性
とはいえ、たとえ立入禁止区域でも、そこは多くの人たちにとって「大切な故郷」。感情と思い出を優先し、ここで一生を終えることを決意した男性が、チェルノブイリ原子力発電所から程近い立ち入り禁止区域に一人で住んでいる。
・原発に非常に近い場所に住んでいる
エフゲーニーじいさん(80歳)が住む地域は、チェルノブイリ原子力発電所から約18キロほどの場所に位置する。東京駅から川崎駅ほどの距離で、非常に近い場所に住んでいる。原発事故で一度はこの地から離れたものの戻ってきてしまったという。
・サマショールな人と言われている
ウクライナでは、そんな勝手に戻ってしまう人たちのことを「サマショール」(わがままな人)と呼んでいる。しかし通訳のナターシャさんによると、わがままという言葉が適切かどうか簡単に判断するのは難しいという。
・まったく健康を害することなく平和
そんな禁止区域に住んでいるエフゲーニーじいさんだが、日本人として非常に気になるのは健康面だろう。福島第一原子力発電所事故により、日本でも放射性物質による健康被害が大きな問題となっているからだ。エフゲーニーじいさんにその話をすると「まったく健康を害することなく平和に楽しく生きている」という。
・毎日のように新鮮な卵を産む
一部の調味料や食材を除いて、卵や農作物などはエフゲーニーじいさんの手による地産地消。庭にはたくさんのニワトリが飼われており、毎日のように新鮮な卵を産む。「美味しい生卵だから飲んでみなさい」というので飲んでみたが美味しかった。
・癒やされる風景がそこにある
ニワトリのほか、猫や犬なども飼われており、エフゲーニーじいさんになついている。「かわいそうだから」という理由で野良猫や野良犬を家に招き入れていたところ、いつの間にか家族になっていたそうだ。
動物たちと共存しているこの風景、ここがチェルノブイリ原子力発電所事故による立入禁止区域だということを忘れてしまうくらいのどかであり、癒やされるムードがそこにあった。
・人それぞれの考えで住んでいる
放射線量が高いといわれているチェルノブイリ原子力発電所付近に住む行為をどう考えるか、それは人それぞれだ。最後に、エフゲーニーじいさんの言葉をお伝えしたい。
・エフゲーニーじいさんの言葉
「みんなワシのことを、ジジイだからすぐに死ぬからチェルノブイリに戻ったと思っている。違うよ。ワシは27年以上前からここに住んでるし、ここに戻ってきたときは40代で若かった。ワシはこの家で生まれたから、ここが戻る場所だし、戻ってきたんだ。ただそれだけだ」
取材・執筆・撮影: クドウヒロカズ
クドウ: ガジェット通信、ロケットニュース24、Pouchの初代編集長で創設者。焼肉マニアとしてTVチャンピオン「焼肉王選手権」「デカ盛り王選手権」に出場しどちらも準優勝。日清公認のどん兵衛士の称号を得ており、どん兵衛とラーメン二郎要素を融合させた「どん二郎」のネーミング等を考案。他名義でエッセイ「世にも微妙なグルメレストラン」「彦龍のノリヒコさん」、小説「4.5畳の恋人」など出版。B級グルメ研究家として「月曜から夜ふかし」などにも出演。秘境ドローン。秘境グルメマニア。現在はガジェット通信のアドバイザーをはじめ、複数サイトの運営に携わっている。
もっと詳しく読む: チェルノブイリ立入禁止区域で勝手に暮らすおじいさん / 動物に囲まれてのどかに暮らす(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2018/05/20/chernobyl-nuclear-power-plant/