ロンドン生まれの喜劇王、チャールズ・チャップリン(Charles Chaplin)。波乱にとんだ19~20世紀に活動して自らを「世界市民」と称した彼が、25年間暮らした“終の住処”はスイスにある。そして2016年4月、チャップリンの邸宅が残る敷地全体が、ミュージアム「チャップリン・ワールド(Chaplin’s World)」としてオープンした。
・郊外の静かな町に立地
映画俳優、映画監督、映画プロデューサー、脚本家、作曲家――各方面で功績を残したチャップリンが、戦時下でも作品をとおして“反戦”を訴え続けたことはあまりに有名だ。平和をのぞむ一人の男が晩年過ごしたのは、永世中立を掲げるスイス。フランスとの国境に近い郊外の町Corsier-sur-Vevey(コルシエ・シュル・ヴヴェイ)だ。
構想から15年の時を経て、邸宅のある敷地はミュージアム「チャップリンワールド」に生まれ変わった。観光都市Vevey(ヴヴェイ)からはバス212番で約15分、“Chaplin”で下車。広大な敷地へ入ると、2つの建物(展示室)があり、左側にあるのが開館とともに新設された「スタジオ(The Studio)」(1350平方メートル)。右側に建つ白亜の屋敷はチャップリンが暮らした家「マノワール・ド・バン(Manoir de Ban)」(約500平方メートル)。
・まずは“アーティスト”のチャップリンに浸ろう
最初に「スタジオ」手前にある受付でチケット(一般CHF23、6~15歳はCHF17)を購入して、エントランスへ。鑑賞する順路は自由だが、オリジナルシアター視聴の行列が予想されるため、チャップリンの映画作品をたどれる「スタジオ」から見学するのが無難だ。
館内は地上と地下の2フロアの構造となっており、地上階からスタート。入館して最初の部屋は映写室(全150席)。ここでは大スクリーンで歴代作品のハイライトをまとめたオリジナルシアターを見られる(約15分、入場制限あり)。
・チャップリンの世界観を体感
そこから先は、作中でおなじみのシーンのセットを再現した展示室が続く。『モダン・タイムス』の機械仕掛けや『黄金狂時代』の山小屋などの名シーンに、自ら飛び込んだかのような錯覚におちいるリアルさがたまらない。
また各展示室では、そのセットが舞台となった映画フィルムを上映しており、かりに見たことがない人でも十分に楽しめる。館内は写真撮影ができるため、周囲で繰り広げられる“撮影大会”を上手にかわしつつ、とっておきの一枚をおさめたい。
・敷地内にあるカフェレストランで休憩を
チャップリンの作品世界にどっぷり浸った後は、庭園に建てられたカフェレストラン「ザ・トランプ(The Tramp)」へ。サイレント映画を思い起こす、白と黒を基調にした瀟洒な空間は、『モダン・タイムス』の工場シーンがモチーフとなっている。
https://www.youtube.com/watch?v=n_1apYo6-Ow
『モダンタイムス』の一部シーン(1936年)
ここではランチタイムにはチャップリンをテーマにしたメニューを、ディナータイムには本格的な料理を、館内で放映されているムービーとともに堪能できる。ひと息ついたところで、喜劇王が家族と暮らした「マノワール・ド・バン」へ移動しよう。
ミュージアム
時間:10:00~18:00
定休: 12/25, 1/1
予約:http://tickets.chaplinsworld.com/en-US/home
※チケットはオンラインで購入可能。プリントまたはダウンロードしてモバイルなどで提示。
フード
カフェ:9:30~20:00(日・月~18:00)
ブラッスリー:11:30~15:00
レストラン:火~土19:00~23:00
HP:http://www.chaplinsworld.com/
※公式サイトでランチ、ディナーともに予約可
もっと詳しく読む: チャップリンの終の住処へ / 2016年ミュージアムとして開館(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2016/10/22/chaplin1/