絵本作家アロイスカリジェが描いた童話『ウルスリのすず』をご存じですか? アルプスの山奥で暮らすウルスリ少年の冒険物語は、世界各地、もちろん日本でも絵本で親しまれ、また映画化もされました。名作の舞台になったスイス・グアルダ(Guarda)に並ぶ建築の外壁に…あれ? 動物みっけ!
・童話『ウルスリのすず』の舞台グアルダへ
オーストリアのドナウ川へと続く、スイス南東部を流れるイン川。両岸にはアルプスの山並みのほか、澄んだ湖や牛が草をはむ広原が見られます。エンガディン地方と呼ばれるこのエリアには、今もひっそりとスイスの原風景が残ります。
エンガディン地方のなかでも、ひときわ美しいのがグアルダ。絵本作家アロイス・カリジェもこの村を愛した一人で、世界中で翻訳されている名作『ウルスリのすず』の舞台になりました。
・スイスの奥地にあります
絵本作家が魅了されたグアルダには、いったいどんな風景が広がっているのでしょうか。交通手段は鉄道だけ、またリクエストストップの駅のため、バスのように“STOP”ボタンを押さなければ停車しません。この“秘境”感にも旅情をかきたてられます。
駅に降り立つと目の前に停まっているポストバスに乗れば、村の中心までは10分足らずで到着。歩くとすれば上り坂なので、おそらく30分はかかってしまいます。さて中心部に着くと、さっそくエンガディン地方伝統の装飾画「スグラフィッティ」がほどこされた建築がお出迎え。
・エンガディン地方で古くから継がれてきた装飾画
スグラフィッティとは、色の違う漆喰を何層か塗った壁の表面を、金属で搔きおとして線画を描く装飾方法のこと。エンガディン地方独自の技法であり、抽象的な幾何学模様から花、言葉までモチーフはさまざま。
1時間あれば一周できてしまう、ごく小さなグアルダはまさにスグラフィットの宝庫。ほとんどの建物にスグラフィットが施されており、なかにはたいへん精巧に描かれた動物の姿も……
・石畳の道が続くグアルダを、のんびり散策してみて
こんな緻密な装飾画も、近寄ってみればたしかに“ひっかき傷”。人の手が生み出した芸術に、うっとりため息がこぼれます。
ハイキングやサイクリング中の人も思わず立ち止まる、スグラフィッティが織りなす空間。村全体が美術館のようなグアルダへ足を運んでみませんか?
もっと詳しく読む: まさにファンタジー世界! 童話の舞台となった美しい村グアルダ(Photrip フォトリップ) https://photrip-guide.com/2016/09/21/animal-sgra-guarda/